2014年1月23日木曜日

モルトウィスキーは最高だぜ 【隠れた逸品】

 『おじさんの足の臭い系』という素敵なジャンルにカテゴライズされた如月です。今日はいつもよりも念入りに足を洗いました。
 さて、今日はウィスキーの話です。世の中には色々なウィスキーがありますけれど、僕が一番好きなのはピュアモルトウィスキーです。そう、麦芽だけでつくった蒸留酒ですね。僕の作品にも、必ずといっていいほど登場します。えっ、読んだことがない?

とんでもないクズ野郎ですね

 おっと、つい口が滑ってしまいました。さて、そのモルトウィスキーにも様々なものがあって、特に有名なのはスコットランドでつくられたものです。といっても、これまたたくさんの種類があります。一般的にはスコットランドのモルトウィスキーはその生産地域によって四つに分類されます。その四つというのは、

アイラ、ハイランド、ローランド、スペイサイド

です。おそらく最も有名なモルトウィスキーだと思われる「マッカラン」は、上記の中の『スペイサイド』に属します。とても美味しいウィスキーですね。僕も大好きです。でも残念ながらめったには飲めません。高くて手が出せないのです。いつか小説が売れたら、鼻から溢れるくらい飲んでやるんだと、叶わぬ夢に思いを馳せる毎日なのです。
 さて、今日ご紹介するのは、貧乏な読者の方々でも少し無理をすれば手が届くであろう、超が付くほどコストパフォーマンスの高いモルトウィスキーです。それはこれです。

アイリーク 700ml 2000円

 実はこのウィスキー、マニアの間でも謎の多い酒でして、呼び名もはっきりしなければ(アイリークだとかイーラッハだとか色々な説有り)、どこの蒸留所で生産されているのもいまだに不明なのです。蒸留所に関しては様々なうわさが囁かれていますけれど、有力なのは、ラフロイグラガブーリンではないかという説です。
 しかしそうなると益々謎は深まるのです。なぜならば、上記の二つの銘柄はとても高価で、この値段で手に入るとはとても思えないわけです。

       

 どうですか? 貧乏な皆さまには一生飲むことができないような代物ですね。

おい、失礼だろう!

(あーうるさい……本当のこと言っただけなのに)
 話を戻しましょう。実際の味ですが、これがまた凄い! 上記の2つの酒――すなわちラフロイグとラガブーリン――を混ぜたんじゃないか、と思うような、絶品なのです。ここで少し、それら二つの銘柄について説明をしておきましょう。
 まずはラフロイグ。これは先の分類では『アイラ』に属するウィスキーで、個性的なスコットランドのモルトウィスキーの中にあっても、おそらく最も個性の強い酒ではないでしょうか。消毒薬(ヨードチンキ)にも似た刺激臭、香辛料を混ぜたんじゃないかと思うほどスパイシーな味、最初は戸惑うかもしれませんが、一旦慣れてしまえば病み付きになること請け合いです。
 次にラガブーリンですが、これも『アイラ』に属するウィスキーで、ラフロイグ以上に高価な酒で、車にたとえればベンツのようなものです。そう、『いつかはクラウン』よりもっと高い、あのベンツです。カローラにさえ乗れない皆さんには、一生縁のない酒ですね。

おい、お前は違うのかよ?

 はい、僕のボロ車はつい数ヶ月前に車検を取って、とうとう十年目に突入してしまいました。あちこちに傷がついて、修理しないでほっといたせいで錆まで浮いてしまっています。家族にはいつも「恥ずかしいから何とかして!」と訴えられ、「だったらマジック買ってこいよ!」と言い返すという、不毛なやり取りをしているわけです。
 おっと、また脱線してしまいましたね。話を戻しましょう。そう、ラガブーリンです。これもラフロイグ同様、刺激臭が強くスパイシーな酒です。
 この酒や前のラフロイグの消毒薬のような刺激臭の秘密は、じつは土にあります。土というのは、麦芽を乾燥させる際に燃焼させる泥炭のことでして、じつはアイラというのは島の名前で、とうぜん海に近く、その土には海藻やコケが多量に含まれているのです。だからその海藻のヨード分が麦芽に浸み込むわけですね。
 しかしこのラガブーリンはラフロイグに比べると若干甘く、まろやかです。上品とでもいいましょうか、ラフロイグを荒馬にたとえるならば、ラガブーリンはじゃじゃ馬といったこところです。

 それら2つを足して2で割ったような味、どうです、想像しただけで涎が出てきそうですね。でもじっさい美味いんです。しかもそれがたったの2千円。もってけドロボー、なわけです。素晴らしいですね。でも皆さん、あまり買わないでください。

どうしてだよ?

 決まってんだろ、あまり売れちゃうと値上げするからだよ! 前にもそういうことがあったんだよ。調子に乗るとすぐ値上げ。

あー、やだやだ

 と思っていたら、さっそく2000円のやつは売り切れてしまいました。でも他の店で2270円で売ってますから、早いもんがちですよ、たぶん。


   

【後日談】

注文した奴が届きましたよ。(二本)
これでしばらくは至高の日々が続くことでしょう。



2014年1月8日水曜日

ゴースト≠ノイズ(リダクション) 、いよいよ書籍デビューです

 KDP界の最後方を走りながら、最近は皆さんの背中すら見えなくなってきた如月です。

 さて今日の話は、十市 社さんの作品、ゴースト≠ノイズ(リダクション) に関してです。じつは僕は、他の方々の作品の書評はしないことに決めています。理由は簡単、読書力が著しく欠けているからに他なりません。こんな僕に書評でもされよう日には、書評された人もとんだ迷惑なわけです。でも今日だけはその封印を解いて、それを敢行させていただきます。

 この作品は僕が思うに、KDP界の中では少し異質な存在だったような気がします。他の方がどう思われたかはわかりませんが、僕は正直、嫉妬を覚えました。たしかに、個人出版にありがちな推敲不足による違和感を覚える表現も少しはありましたが(お前が言うな!)、でもそれ以上に、行間からにじみ出る才能がひしひしと伝わってくるのです。

 小説を書かれている方ならきっとおわかりいただけると思いますが、文章を上手に書くことは凡人でも出来ます。ひたすら努力し続ければいいのです。毎日何千文字も書いていれば、たいていの人はきっと上手くなるでしょう。でも凡人は、どんなに頑張っても、しょせん凡人なのです。作品が読みやすくなるだけで、それ以上のことは望めません。

 重要なのは感性であり、感受性だと、僕は勝手に思っています。表現する技術と、持って生まれた、あるいは成長する間に培った感性に感受性、それらが揃って初めて、人を感動させる小説が生まれる――

 この小説に関しては、キンドルで云々とか、個人出版からメジャーへ、とかの謳い文句は、できればやめて欲しいと思います。純粋に、一人の天才が文壇にデビューした、そういうスタートを切って欲しいと願うばかりなのです。

 姑息な修飾や宣伝文句の似合わない、極めて純な作者であり、作品だと僕は思います。

 ということで、現在アマゾンで予約受付中です。売り切れになる前に、急いで予約を入れましょう。





 Kindle版も発売になりました。(500円)



2014年1月1日水曜日

久しぶりの映画の感想: 最強の二人【Intouchables】

 久しぶりの映画の感想です。書きたくなったのにはもちろん理由があります。まあそれはおいおいということで、まずは不満を。それは邦題です。最強の二人――

ちょっと酷すぎる……

 なんと言えばいいのか、この映画の本質を曲げてまで商業主義に走った腹黒い連中の、薄汚い顔が浮かんでしまうのです。最初にこれを見た僕なんて、偶然出会った富豪と貧民が紡ぐサクセスストーリーを勝手に思い浮かべてしまいました。でも全然違います。だから敢えて原題を書いておきました。そう、Intouchables(ザントゥシャーブル)です。ではこれはどういう意味なのか、実は僕にもよくわかりません。

お、おいおっさん……

 うるさい、とても難しいんだよ! で映画を観終わった僕はこれを、『誰にも侵すことの出来ない二人の絆』と勝手に解釈することにしました。まあ、こんなんじゃとても映画の題目には使えないでしょうけれどね。

 と言うことで、ようやく本題である映画の感想に。まず最初に浮かぶ言葉は、

とにかく美しい

 です。美しいと言っても、綺麗という意味では決してありません。実際に、富豪役のフランソワ・クリュゼが涎を垂らしたり、オマール・シー扮する貧しい黒人青年が薄汚いスラム街で過ごす様子などがとてもリアルに描写されていたりします。一般的には汚い絵なのでしょうけれど、でも美しいんです。これはもう、先の二人の俳優の卓越した演技力と、監督を初めとする制作スタッフの力量のおかげに他ならないのではないでしょうか。すこし乾いた映像が刹那な世界を創造し、絶妙な音楽がそれをさらに盛り上げる。気がつくと、二人の世界にどっぷりと嵌まり込んでしまっているのです。

 ではここで少し音楽の話を。この作品には二つの、とても印象的な楽曲が使われています。一つは主題歌でもある、Ludovico EinaudiのNuvole Biancheです。では少し聞いてみることにしましょう。




 どうですか? とても刹那ですね。でもこれだけじゃただの哀しい映画になってしまいます。そこでこの曲の登場なわけです。いきなりぶっ飛びますよ。


 そう、あのEarth, Wind & FireのSeptemberです。同情や表層的なつきあいに辟易していた富豪の目を覚ますべく、貧しい黒人が無理やり聞かせる曲です。もう最高ですね。
 これらの、ある意味対照的な楽曲が見事に使い分けられていて、飽きることなく物語に没入できるのです。

 もっともっと語りたいことは山ほどありますけれど、この辺でそろそろ終わりにしたいと思います。

も、もう終わりかよ (゚Д゚)

 まるでわかっちゃいないな、君は――。これ以上語ったら、これから観る人の楽しみが半減しちゃうだろ!
 ということで感想はこれくらいでやめておきますが、とても素晴らしい映画でした。ストーリー自体は、そんなにドラマチックじゃありません。むしろ陳腐と言った方がいいかもしれません。でも、いや、だからこそ素敵なのです。シンプルであるがこそ、登場人物それぞれの心情を深く掘り下げることができる。奇抜なストーリーも悪くはありませんが、たまにはこういう美しい作品を観て、心の洗濯をすることも必要だと、改めて思った次第なのであります。