2014年6月4日水曜日

個人出版をやってみての雑感

 がむしゃらに走り続けて3年、最近ようやく余裕(あきらめ?)も出てきて、自分の置かれた環境を、足りない頭でそれなりに観察できるようになりました。併せてとびぬけて寡読だった僕も、ここのところ手当たり次第に本を読み、おかげで多様な表現方法を学ぶことができたような気がします。

 さて、いまから3年半前に小説を書き始めて今日まで、いろいろなことがありました。というか、取り巻く環境が目まぐるしく変わった3年間でした。3年前はもちろんKDPなど存在せず、Wookやパブーといったサイトで配布するしか手段は無かったように記憶しています。でもぜんぜんDLされなくて、僕の場合なんて、1年で10DLもされなかったように思います。

 そして1年半前、いよいよKDPが上陸し、僕たちアマチュア作家に転機が訪れました。最初はそうでもなかったのですが、1、2ヶ月もすると次第に本が売れ始め、時にはレビューも付き、どう言えば良いのか、日の当たらない物置小屋から、いきなり燦々と太陽の降り注ぐビーチに躍り出た、大げさに言えばそんな感じだったのです。このまま書き続ければいつか食っていけるかも知れねえな、そんな幻想を抱かせるに十分な手応えを感じたのでした。ところが――

 新作を出しても出しても、売上げは伸びるどころか勢いを失う一方だし、しかもライバルが次々に現れてはウサギのように自分を追い越していくし、そのうえ大手出版社がセールをやってかき乱すわで、1年半経った今は、もう惨憺たる状況なのです。

 もちろん僕もただ手をこまねいて見ていたわけではありません。Google AdWordsを使って広告も出しました。クリック課金のシステムで、1クリックにつき20円とか30円とか成功報酬を払うわけです。といっても、それが実際に売上げに繋がるのは僅かで、当然赤字です。それでも先行投資と割り切って(2ヶ月で)2万円くらい突っ込みました。そしてその結果は――推して知るべし、まさに先行投資のままで終わってしまったのでした。

 じゃ、もうこのまま個人出版は宴の終わりのキャンプ場の炭火のように、燻り、そして消えるのを待つだけなのか――

 それを考える前に、ひとつ、最近いきなり乱読をかましている自分が思ったことを話しておかねばなりません。それは個人出版作品の品質の高さ、です。もちろんすべてではありませんが、商業作品と比べても引けを取らない、いや場合によってはむしろより面白いと思える作品が多々あるのです。でも残念ながら売れていません。ランキングをみれば一目瞭然なのです。ときには僕の駄作よりも売れてなかったりします。やっぱり駄目なのでしょうか?

 いいじゃねえか、どうでも

 そうなんです、別に何かを失うわけじゃなし、何もせずに無為な時間を過ごすよりも、仮に自己満足で終わるとしても、儚い可能性に期待を抱きながら夢を綴り、そして気がつけば確かな結果として自分の作品がそこにある。それでいいじゃないか、と。その儚い可能性を感じられるだけでも、かつての真っ暗な物置小屋よりも遥かに恵まれているのです。

 といっても、専業作家になる夢を捨てたわけじゃありません。ただその目標を2年後から10年後に、ほんの少しだけ先送りすることにしました。

 心に余裕がなきゃ、良い作品なんて書けっこないからね!
 

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