2014年11月26日水曜日

過去を懐かしむようになったら、もう人間は終わりかもしれないね

 小説を書き始めてちょうど4年が経ちました。今から4年前、仕事でいろいろと行き詰まり、すべてを投げ出したのはいいけれど、何をする当てもなく、そこでなんとなく書き始めたのがきっかけでした。
 半年、いやほとんど1年、仕事もせずに執筆に没頭し、このままでは路頭に迷うと焦り始めて仕事を探し、3年前に今の会社に拾って頂きました。とても感謝しています。
 それからの3年間は、仕事をしながら書き続け、かつての自分からは想像も付かないほどに、人間として、充実した日々を送ることができました。これも小説のおかげです。
 元来熱中しやすく、のめり込むと周りが見えなくなる僕は、それまでずっと、仕事に人生のすべてを費やしていたように思います。キックボクシングをしたり、渓流釣りに熱中したりもしましたけれど、それはあくまでも余暇の過ごし方の一形態に過ぎず、主は、間違いなく仕事でした。
 でも今は違います。仕事も人生の一部ではありますが、執筆も、また人生の大きな一部なのです。
 ただ困ったことも起きています。それは焦りです。執筆を休むと、言い知れぬ恐怖が闇の向こうから舞い降りてきて、僕の首をギリギリと締め付けるのです。それはかつて、失業時代にときおり僕を襲った、あの絶望感にもどこか似ています。
 とは言っても、今のところは路頭に迷う心配もなく、かつてに比べればずっと恵まれているわけで、逆にもう少し自分を追い込んだ方がいいのではないかと思うこともあるくらいです。けっきょくのところ、たぶん、僕は幸せなのだと思います。

 今、4年前に小説を書き始めた頃の初期の作品である「名探偵の事件簿」という愚作の、その続編を綴っているところですが、すると、つい想い出してしまうのです。この4年間は、とても長い年月でした。作品では20年が経過したことになっています。でも、僕にしてみればこの4年は、まさに20年にも匹敵するほどに充実した、そして貴重な4年だったのです。たぶん……

 この4年間を振り返り、amazonの著者ページを見ながらチビチビと飲むウィスキーが、今夜はいつもよりずっと心に沁みます。

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