2014年11月30日日曜日

「なおざり」と「おざなり」 #言葉のお勉強

 みなさん、意識して使い分けていますでしょうか?

なおざり(等閑)
おざなり(御座成り)

 この2つの言葉、なんとなく語感や意味が似ているので混同しがちですが、じつは大きな違いがあります。
 なおざりは、いわゆる放置プレーというやつで、ほとんど何もしないで放っておくことですね。この「等閑」という単語は、じつはれっきとした漢語で、「とうかん」と読みます。意味はなおざりと同じで、おそらく「なおざり」にこの漢語を当てたものだと思われます。このなおざり、とても古くからある言葉のようで、少なくとも平安時代には広く使われていたようです。

 一方のおざなりはというと、こちらは比較的新しい言葉で、最初に見られるのは江戸時代のようです。意味としては、「テキトーでいいっしょ」ってやつで、誠意なく適当に済ませる、という意味ですね。語源としては、太鼓持ちがお座敷にお呼びがかった際に、客によって扱いを変えることから、つまり、「御座なり」 に済ませる、ことから来ているという説が有力らしいです。もちろん其の真偽は僕の知るとことではありません。其の時代に生きていたわけでないのですから、あたりまえですね。

 ところで、この2つの言葉を巡ってはいろいろと面白い話があって、その語感と意味の近似性から、一方がもう一方から音転して生じたものだと説く人もいるようです。ただその人は「おざなり」⇒「なおざり」説を主張しておられ、これはそれらの言葉の出生の順序からして明らかに間違いだと思われます。でも、逆なら十分にありえそうです。つまり、江戸時代、当事すでに一般的であった「なおざり」という言葉をもじって、御座なりという言葉が生まれた。。。

 まあ今となってはなんとでも言えることですね。なにしろその言葉をつくった本人がいないわけで、誰も真偽のほどを確かめようがないわけですから。


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