2013年12月3日火曜日

あるよね、未だに死にたくなる恥ずかしい想い出って

あるのかよ?

 うん、死ぬほどたくさん。まず最初に頭に浮かぶのが、小学校低学年のときの夏の切ない想い出。そう、ラジオ体操の朝だよ。歩いて5分の小学校に行くときから、人の視線が気になっていたんだよね。でも当時は今にもましてバカだったから、ちっとも気づかなかったんだ。体操が終わって家に帰って母ちゃんに、

「このばかたれっ!」

 そこで始めて気づいたってわけだよ。パジャマの上に半ズボンをはいていたことに。

「…………」

 で次が、そうだね、これもやっぱり小学校低学年のときの夏の切ない想い出。当時僕の家は農業兼雑貨屋をやってて、アイスキャンディーも売ってたんだ。あれだよ、食べた後で木の棒に『あたり』って書いてあるともう一本貰えるやつ。そんで僕は考えたんだ。自分で書いたら良いじゃん、ってね。チャレンジ精神に満ち溢れていた僕は、さっそく実行に移したよ。そう、マジックで書いたのさ。でもとても残念なことに、脳の発育がずいぶんと悪かったせいか、僕は字が書けなかったんだ。それでも一生懸命書いておやじに渡したら、グーで殴られたよ。

「な、なんで?」

 鏡で映したように、字が左右反対だったんだよね。

「…………」

 次はなんだっけ……そうだ、あれだ。お漏らしだ。これもやっぱり小学校のときのことなんだけど、当時から僕はとても謙虚で、自分勝手な都合を人に押しつけることが出来なかったんだ。であるとき授業中に急に尿意をもよおして、でも先生に言えなくて、気がついたら僕の椅子の周りが小便だらけになっていたってことさ。泣ける話だろう?

「…………」

 そして次は、いきなり飛んで大学生。えっ、なぜ急に飛ぶのか? 聞くなよ、恥ずかしい。記憶を無くしてすっかり忘れちまったからに決まってるだろ。で、大学に入って、僕は初めてデートってやつをしたんだ。でも生まれ育ったのが辺りに田んぼしか無い田舎で、しかも高校時代は応援団、僕はそういうことにまるで要領を得なかったんだ。さらに悪いことに大学で寮に入った僕の周りも同じような田舎者ばかり。愚かな僕は奴らに訊いたよ、どこに行けば良いかなって。

そりゃ、六本木のアマンドだろ。ちょー有名らしいぜ

 迷わず行ったね、アマンドに。そしてコーヒーを飲んださ、その子と二人でね。もちろん、その子とはそれっきりさ……

 最後に、昨日の話をして終わりにしようかな。朝通勤電車に乗ってて、やたらと他人の視線が気になったんだよね。そう、グッと僕の顔を見入る熱い視線。おや、突然キムタクみたいなイケメンになっちゃったかな、ボク? なんて思いながら会社について、トイレで用をたして、そんで鏡を見たわけだよ。驚いたね、ボクは。

「どうしたんだよ?」(棒読み)

口の周りが歯磨き粉で真っ白だったんだよね。あー、恥ずかしい。

――大変失礼いたしました。すべて本当の話です

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