2013年8月16日金曜日

夜遊びと性癖との無理やりなこじつけ

 小さい頃から夜遊びが大好きだった。どうしてそうだったのだろうと色々と考えてみたけれど、これといった理由が思い浮かばない。そうこう考えているうちに、子供の頃のある性癖を想い出した。それは押し入れである。
 僕は押し入れが大好きだった。狭くて暗い空間の中にいると、なぜか心地よいのである。そしてその暗い闇の中で、たわいもない空想に耽るのだ。空想に耽る上でこの”暗い”という条件はとても大切で、これがなければ気の抜けたビールとおなじように、まるで味気ないものになってしまうのだ。

 まあ、早い話が現実逃避である。日常を断ち切り、完全なる空想の世界に没入する。そのための暗い空間に過ぎないのだ。

 毎日が色あせて、何もかもが味気なかった。特に中学校に入ってからはそうだった。先生が嫌いで、それ以外の大人たちも、そのほとんどが嫌いだった。(まあ、今も年配の人間の大多数は、大嫌いだけれど……)

 話を戻そう。そう、夜遊びである。押し入れの性癖を想い出して、ようやく夜遊びが好きだった(今も好きだけど)理由がわかった。夜の闇は汚れた現実を覆い隠してくれる。そしてその現実の代わりに、とても素敵な世界が姿を現すのだ。

 特に好きだったのが、お祭りだ。日頃偉そうな講釈を垂れ、尊大な振る舞いをして虚勢を張る大人たちが、このときだけは子供のようにはしゃぎ、まるで友達のように身近に思えた。いやな現実は夜の帳が隠してくれて、そこにはまるで、ジブリの映画のような素敵な世界が広がっていた。

 今朝、通勤途中に通る公園で、僕ははたと足を止めた。そして突き上げる憧憬に思わず声を漏らした。

「盆踊りだ……」

 

 ぶら下がる無数の提灯を見ただけで、もうすっかり気分は少年だ。僕には見える――。暗い闇に浮かぶ色取り取りの提灯、その幻妖な灯りの下で踊り狂う人々。BGMは、もちろん炭坑節だ。


無理やり加工してみました……

 今週末は、久しぶりに盆踊りに顔を出してみようかと思う――。


(おまけ) 今も夜遊びが好きだ。でも幼い頃とは、ほんの少しだけ理由が違う。

僕が惹かれるのは提灯ではなく、虹色に妖しく光るネオンになってしまった。

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