2013年8月30日金曜日

てへっ、ばれちゃいましたぁー、な事件に思うサルの独り言

 人々はかつてない恐怖に怯え、世界は、信じがたい現実を目の当たりにして、その身を打ち震わせていた――。
 突然現れ、容赦なくその非道な魔の手を振り下ろす悪魔、その名も、”個人情報晒し隊”。

 最初に被害に遭ったのは、まだ分別も付かない若者だった。”暑すぎる夏のせいに違いない”――環境保護団体はそれを地球温暖化のせいにし、”ゆとり教育が間違っていたのだ”――サディスチックな教育評論家は、それを教育行政のせいにした。

 でもそれは、どちらも間違っているかもしれない。

 なにしろ、そんなに暑くなかった昔から、或いは、スパルタ教育全盛の昔から、そういう輩はたしかにいたのだ。いや、皆さんにも心当たりがあるはずだ。一歩間違えれば同じような事態になりかねないような愚劣な行為をした経験が。そう思う人は手を上げて欲しい。

 はーい!

 と、まっ先に手を上げてどうする、自分……

 話を戻そう。別に暑いからアイスケースに入ったわけじゃなかろうし、口が寂しかったからソーセージを咥えたわけでもないだろう。ましてや、変身したくて顔にピザ生地をはっ付けたわけでもあるまいし。じゃあなぜ? と、?(はてな)を付けるだけ無駄というものだ。

 目立ちたかったからに決まってるだろ! このあほぽんが!

 僕が言ったんじゃない、彼らの魂がそう言っているように聞こえただけだ。もしかしたら幻聴かもしれない。

 目立ちたいからわざと奇異な行動をして、それを友達に見せる。そこそこ噂は広まり、なんだか満たされた気分になる。ではこの満たされた気分というのはいったいなんなのだろう?

 僕はその謎を解く鍵が、孤独にあると思う。(大丈夫か、おい?)

 かつて僕が――いや、僕の友達が――定食屋のソースと醤油のビンのラベルを貼り替えたのは、けっして人を困らせてやろうと思ったわけじゃない。自分の行為と、その先に起こりうるであろう社会的な現象に、つながりが欲しかったのだ。そうすることで、無為な自分、無力な自分を、少なくとも自分の中だけでは、ちょっとした影響力のある人間に昇華することができたのだ。(まあ言ってしまえば、ただのバカである)

 だからその行為自体は、決して今に始まったことじゃない。問題は、その先の拡散と社会的制裁である。
 仲間内で、或いは限られた狭い世界の中でしか話題にならないであろうと思っていた悪戯が、たちまち全国レベルで、”痴態”として広まってしまう。しかもその被害者である店に対してまで、”厳しい鉄槌を下さない企業は許さない”と責めてしまう。

 なんと恐ろしい(ガクブル)

 では、責める側の人間を突き動かすものはなんなのだろう?

 僕は思う。それは、鬱せきした不満、それにどこにも持って行きようのない憤りではないかと。かつて匿名のない時代は、その不満や憤りを、建設的な行動や意見で示す者だけが”大人”として認められていた。(今でも僕はそう思っている) でも匿名性がそれを変えた。あらを探し、民度の低い非人道的な誹謗中傷を浴びせる。浴びせる側にはなんのリスクもない。なにしろ、完全な匿名なのだから。

 と思っていたら、また、トンデモないことに

 そう、2chの個人情報流出事件である。困ったものである。知られるはずのない秘密が、まるで秘密でなくなってしまうのだから。匿名だからと信じて少し大げさに書いたのに、それが匿名でなくなると、まるで本音を言ったかのように捉えられてしまう。まったくもって、

 ご愁傷さま、である

 ところで、SNSでの痴態の暴露と、この2chの情報流出には、どこか共通点があるような気がしてならない。深酒のせいで溶けてしまった左脳の代わりに、僕の右脳が代弁しよう。それは、

 バレないと思っていたことが、しっかりバレちゃいました

 と言うことだ。恐ろしいことである。しかもバレちゃいました、ではすまないのだ。

 これからこの傾向はますます加速すると思う。ウエアラブル・コンピューティングの普及は人の行動を監視する目を世界中に張り巡らせ、人陰に隠れて鼻くそをほじる行為さえ危険になるかもしれない。みんな気をつけなければならない。でも、僕は大丈夫。なにしろ仕事以外は、

 部屋にこもって外に出ない、究極のオタクだから

 
 

 

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