2013年9月12日木曜日

指紋認証に潜む、光と影

 書き始める前から、頭が沸騰してしまいました。

 そんな難しい話、僕にはとても無理です――

 と、ここで終わりにしたいところだけれど、どうしても気になることがあるので、無知を承知で話を進めます。
 きっかけは、もちろん先日発表になったiPhone5s。「Touch ID」ってやつです。最初はあまりピンとこなかったんですが、次第に夢が広がり、「こりゃすげーや」となってしまったのです。

 もともと記憶力が欠如していている上に、嫌なことがある度に酒を飲んで忘れる術を覚え、気がつくと大切なことまで忘れるようになってしまった愚か者の僕。そんな僕に、悪魔が囁いたのです。

 もう、パスワードを覚えなくてもいいんだぜ

 マジっすか、悪魔さん? パスワードを要求される度にあたふたと慌てふためき、ときには二度とログイン出来ないこともしばしば。そりゃ、悪魔に魂を売ろうという気にもなるでしょう。

 でも本当にそんなことができるの?

 調べてみると、そういうことも可能なようです。実際過去には、あのマイクロソフトからも、Webサイト等へのパスワードの入力を指紋認証で肩代わりしてくれるキーボードが発売されています。こうなると、夢がますます膨らみます。初期設定だけをしておけば、後はスーイスイ。ホームボタンに指を乗せるだけ。なんて素晴らしい!

 でも、ちょっと待てよ

 おかしいじゃないか――と、ふと疑問が湧いたのです。だってそうじゃないですか。指紋を画像データとして読み込むわけで、それを照合するためのレファレンス(つまり、あらかじめ登録しておいた僕の指紋のデータ)もどこかに保存されているわけです。と言うことは、そのデータがハッキングされてしまったら、あるいは何かのアクシデントで漏れてしまったら、悪用されまくりじゃないですか。しかもパスワードとは違って、指紋を簡単に変えられる訳もないし。(まあ、簡単に変えられるようだと、そもそも指紋認証自体が意味をなさないわけですけど)

 なんと恐ろしや

 次第に背筋が寒くなってきました。でも妄想暴走させるうちに(ちょっと韻を踏んでみました)、もっと恐ろしいことに気づいたのです。そう、あれを思いだしたんです。おいたをしたときに警察で取られた指紋のことを。一度指紋を取られると、もう二度と悪いことはできません。地球の裏までインターポールに追いかけられるのです。

 病気じゃねえのか……

 無視しましょう。で、僕が言いたいのは、「個人の特定」です。僕の指紋と僕の個人情報がセットで揃った時点で、もう僕のプライバシーはノミの目ほども存在しないのです。指紋認証をする度に、僕が働く悪事の数々が、すべて白日の下に晒されるのです。アカウントやパスワードを変えても、もう逃れられません。指紋は、一生ついて回るのです。

 じゃあ、悪いことしなきゃいいじゃん

 その通り。清く正しく生きる。これが一番です。でも世の中そんなに甘くはありません。悪意によって貶められる可能性もあるわけです。デジタルコピーされた僕の指紋があちこちに貼り付けられ、パン泥棒や下着泥棒等のあらぬ容疑で、あるとき突然捕まってしまうこともあるやもしれません。

 実際やったんじゃねーのか?

 やってません! いずれにしても、とても希望を感じさせるテクノロジーであると同時に、とても恐ろしいテクノロジーにも思えるのです。まあ、Appleさんのことです。きっとそのあたりはお見通しで、「光」の部分だけを上手く活用する運用方法を考えているに違いありませんけど。

 ということで、今日は残念ながら落ちはありません。そう、

 僕の小説と同じですね

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