やけにお月さんが綺麗だな、と思っていたら、どうやら中秋の名月だったようですね。暦に疎い僕は、さっぱり気づきませんでした。
さて今日のお話は、法人税の引き下げに関してです。
おい……
ご心配も、もっとも。サルに語れる話じゃないことは、重々承知。でも、やめません。
さて、いよいよ消費税の引き上げがほぼ確定し、それに呼応して、法人税の引き下げが濃厚になってきました。素晴らしいことです。これで企業の懐も温かくなり、皆さんの給料もばっちり増えることでしょう。――ということで、今日はお終い。
では、ちっとも面白くありませんね。しょうがないので、無理やり話しを歪曲させましょう。さて、法人税の引き下げで、本当に給料はばっちり上がるのでしょうか?
わかりません、そんなこと。僕に訊くだけ無駄というものです。
ふざけんな、ぼけっ
どこからか、罵声が聞こえてきました。しょうがないので、少しだけ無い知恵を絞ってみます。
ご存じのように、皆さんの給料は人件費――つまり経費です。経費には税金がかかりません。だから給料をたくさん払えば払うほど、企業が負担する税金の額は減るのです。もちろんその分、利益も減ります。でもその減り方は、税率が高ければ高いほど少ないのです。
おかしーじゃねーか
はい、おかしいですね。企業にとっては、税率が高いほうが、給料をたくさん払う価値があるわけです。わかりにくければ、極端な例で説明させていただきましょう。例えば会社の利益に対する税率が100%だったとしましょう。そうすると、利益はぜーんぶ税金で持っていかれます。あなたが経営者だったらどうします? 僕だったら、利益の分をぜーんぶ社員に給料として支払います。当たり前ですね、どっちにしても、会社に残る利益は同じ(ゼロ)なんですから。
じゃあ、なんで法人税を下げるんだよ?
勘違いしてるんですね。あるいは、勘違いさせているわけです。法人税を下げれば企業の業績が上向いて、給料も増えて、景気も上向く、と。
嘘です
けっきょく誰が得をするのか? 答えは簡単。お金持ちです。法人税を下げれば、当然企業の利益は増えます。そのおかげでハワイ旅行を満喫できるのは、残念ながら、しがないサラリーマンである皆さんではありません。
おい、失礼だろう!
はい、たいへん失礼いたしました。で、話を続けます。ハワイでビキニの女性を眺めてニヤニヤできるのは、資本家であり、あるいは成功報酬で懐の温まる一部の役員連中だけなのです。会社の利益が出れば出るほど儲かる彼らが、仮に税率が下がったとして、社員への給料を増やす理由は、かのアインシュタインでさえ見つけるのは困難でしょう。
これ以上書くとわが身も危なくなりそうなので、もう終わりにしたいと思いますが、それにしても困ったものです。
収入がなければ所得税を払う必要もない。ここのところ本の売れ行きもさっぱりで、僕にとっては税率なんて、実はどうでもいいことなのです。税率が上がろうが下がろうが、
何も変わりませんから
【追記(9月29日)】
法人税引き下げの概要が明らかになってきました。大枠としては、
1.設備投資減税
2.賃金増に対する減税の対象枠の拡大
一見、おー、っと思いますね。これで給料もばっちりアップなのか?
いえ、とても残念です
2は、”賃金を3%上げれば、増やした分の1/10を減税する”というもので、企業にとって食指の動くものとは、とても思えません。それよりも、経営者は1の設備投資減税に目がいくでしょう。詳細はまだ明らかになっていませんが、例えば従来なら5年かけて償却する設備投資を一括で経費算入できるとなると、これはインパクト大です。儲かっているときなら、「どうせ税金で持っていかれるなら今のうちに設備を増強――」という気にもなろうというものです。給料を上げるよりも設備投資が先決、となりかねません。まあそれでも、景気高揚効果はありそうです。なにしろ設備投資をすれば、何らかの需要が発生するわけですから。でも、皆さんの給料は、きっと変わらないでしょう……結局得をするのは、
大株主を始めとした資本家
なのです。たぶん、きっと……
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